AI介護で達人ケア

人工知能(AI)が介護業界にも進出しているようである。入居者の目線になり、話しかけたり、手を握ったりなど、まるで人が行うような技術をAIに覚えさせ、新人介護者の勉強に役立たせるようだ。やはり、介護そのものを直接AIが行うのは効率的ではあると思うが、介護で一番大切は「人の手の温かさ」がなくなるので、直接介護は人が行うべきである。さらにAIはカメラで入居者を見守ることもできるようだ。人が行うべきなのは入居者に触れ合う直接的な介護、そうでない部分や、人が行うのが難しいことなどをAIに行ってもらう、このバランスを保っていくことがこれからの介護業界で必要になってくる。

 

人工知能(AI)が社会のさまざまな分野に進出し始めた2018年。介護の現場にも、AI導入の波がやってきている。介護の「匠(たくみ)の技」をAIが学習して教育に生かしたり、自立支援に役立つケアプランをAIが提示したり、AIカメラで高齢者の事故防止につなげたりとさまざまだ。AIは近未来の介護をどう変えるのか。現場を歩いた。

◆技術指導 手順や流れデータ化

 ベッドや車いすにいる人の目の高さまで腰を下げ、視線を合わせてゆっくりと話し掛ける。手を優しく包み込むように握る-。

 認知症の高齢者が安心できるケア技術「ユマニチュード」をAIに学習させ、新人介護者の指導に使う取り組みが始まった。AI開発を進めるベンチャー企業「エクサウィザーズ」(東京)が認知症の人にユマニチュードケアを行う実証実験を重ねながら、AIに入れるデータを蓄積中だ。来年度には実用化する計画という。

 認知機能の低下した人には介護の意図が伝わりにくく、食事や入浴介助を拒絶される場面があるなど、介護は難しい。一方「いいケアができても『何となくよかった』で終わっていた。ケアの手順や流れを科学的にデータ化することで、レベルの高いケアの技を教えることができれば日本の介護は変わる」。ユマニチュードの認定インストラクターの資格を持つ技術者で取締役の坂根裕さん(44)は言う。

 AIを使った指導の流れはこうだ。介護者はマイク付きAIカメラを装着した眼鏡を掛け、カメラが高齢者との視線の距離や角度を自動的に計測。目を合わせている、話している、高齢者に触れている時間も記録する。同時にケアの様子を動画で送信。達人の技術を蓄積しているAIは、データや動画を解析して高齢者との距離感など改善すべきポイントを提示する。AIが指導できない部分は、指導者が動画を見ながらコーチする。坂根さんは「人とAIが一緒に教えることが重要」と話す。

 昨年始まった福岡市の実証実験では、ユマニチュードケアをすると介護拒否などが1カ月間で20%減少。介護者の負担感を示す数値も28%下がった。同社はAIによるユマニチュードケアの伝授で、本当にこれらの数字を実現できるかの検証作業も開始。社長の石山洸(こう)さん(36)は「要介護度の維持、改善効果が確認できれば社会保障費の削減効果も期待できる」と未来を見据えた。

◆見守りカメラ 危険を回避

 東京都大田区の特別養護老人ホーム「フロース東糀谷(こうじや)」。リビングルームの天井の対角線上にある二台のAIカメラが、くつろぐ高齢者を見守っている。転倒や車いすからの転落、隣の人とのトラブルなどが起きそうな「動き」を察知した場合、事前に介護者のスマホに通知するシステムの実証実験だ。

 事件事故を「予測」できる、駅や小売店向けのAI防犯カメラを製造販売する「アースアイズ」(東京)が、その技術を介護現場で応用した。実験では、カメラが高齢者の縦横の動きなど行動パターンを検知してデータを蓄積。予測精度を高めて来春以降に商品化するという。同社の担当者は「不特定多数の共有スペースでの見守りサービスは全国初」と話す。

 特養の担当者は「高齢者の動きが事前に分かれば、すぐに動き事故を防げる。人手不足に対応した人員配置もできる」と期待する。

サイト名:CHUNICHI Web

URL:http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018123002000002.html

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